オランダ2027年度税制改正案の概要解説

オランダ2027年度税制改正案(Belastingplan 2027)の概要を表すイメージ
2027年度税制改正・徹底解説

オランダ2027年度税制改正(Belastingplan 2027)を徹底解説
─ 法人税・不動産譲渡税・M&A関連からグローバル最低課税まで全体像を整理

2026年9月15日(プリンセスデー)、オランダ政府は2027年度予算案とともに税制改正法案パッケージ「Belastingplan 2027」を下院に提出しました。本記事では、法人税・不動産譲渡税・M&A関連の改正からグローバル最低課税(Pillar Two)セーフハーバー、個人所得税・VAT・環境関連税まで、パッケージ全体の要点を日系企業の実務目線で整理します。

発表日:2026年9月15日(プリンセスデー)提出先:オランダ下院(Tweede Kamer)想定施行日:2027年1月1日(一部を除く)

📝 3分でわかる変更点サマリー

忙しい方向けに、今回の税制改正パッケージのポイントだけを簡単にまとめました。詳しい内容は各章をご覧ください。

  • ✓法人税:支払利子の控除制限がなくなる方向。海外子会社株を持つ持株会社は、為替差損益の税務上の扱いも変わります。
  • ✓不動産:賃貸目的で住宅を買うときにかかる不動産譲渡税が、8%から7%に下がります。
  • ✓M&A:事業譲渡や会社分割のあと会社を売却した場合、「租税回避目的だ」と証明する責任が、会社側ではなく税務当局側に移る方向です。
  • ✓グローバル最低課税(Pillar Two):一定の条件を満たせば複雑な計算を省略できる「セーフハーバー」が4つ追加されます。
  • ✓スタートアップ:従業員に付与するストックオプションの税負担が軽くなる見込みです。
  • ✓個人(駐在員・従業員も含む):所得税の控除が一部増減し、通勤費の非課税枠も広がります。
  • ✓VAT:花・観光気球などの軽減税率(9%)が2028年に廃止され、21%になります。
  • ✓環境税:廃棄物税・CO2賦課金の値上げペースは緩やかになりますが、増税の流れ自体は続きます。

※ 以上はすべて2026年9月時点の「法案」の内容です。今後の国会審議(例年11〜12月頃に可決)で変わる可能性があり、成立すれば2027年1月1日の施行が目安です。

情報源

  • オランダ政府 Rijksoverheid.nl「Prinsjesdag 2026: welvaart opnieuw verdienen」(2026年9月15日付プレスリリース)
  • Rijksoverheid.nl「Belastingplanstukken」および「Factsheetbundel pakket Belastingplan 2027」(2026年9月15日公表、法案パッケージ公式ファクトシート、53ページ)
  • オランダ税務当局(Belastingdienst)ニュース「Belastingplan 2027」(2026年9月15日付)

本記事執筆時点(2026年9月)では、Belastingplan 2027はオランダ下院・上院での審議前の法案段階です。内容は今後の国会審議で修正・否決される可能性があり、最終的な確定内容は施行前に必ず一次情報でご確認ください。

目次

1
Belastingplan 2027とは ─ 4本の法案からなるパッケージ
OVERVIEW

オランダでは毎年9月第3火曜日の「プリンセスデー(Prinsjesdag)」に、国王による施政方針演説(troonrede)とともに翌年度の予算案(Rijksbegroting)と税制改正法案パッケージが議会に提出されるのが恒例です。2026年は9月15日がこれにあたり、財務大臣ハインエン氏が2027年度予算教書(Miljoenennota 2027)とともに「Belastingplan 2027」パッケージを下院に提出しました。

今回のパッケージは、以下の4本の法律案から構成されています。それぞれ審議・成立の時期がずれる可能性がある点に注意が必要です。

法案名 主な内容
① Belastingplan 2027(本体法案) 個人所得税の税率・控除見直し、不動産譲渡税率変更、廃棄物税・CO2賦課金の調整、VAT税率変更、自動車関連税など、税制の大半を占める中心的な法案
② Overige fiscale maatregelen 2027(その他税制措置) 法人税・所得税・相続税等の技術的な是正措置。事業譲渡・会社分割ファシリティの見直し、配当税還付制度の新設、参加免税の為替差損益の取扱い調整など
③ Wet fiscale stimulering start-ups en scale-ups スタートアップ・スケールアップの従業員向けストックオプション課税の優遇
④ Wet veiligehavenregels Wet minimumbelasting 2024 グローバル最低課税(Pillar Two)の国際合意「Side-by-Side」パッケージに基づくセーフハーバー規則の導入

可決されれば大部分の措置は2027年1月1日から施行される見込みですが、現時点(2026年9月)ではまだ下院・上院での審議前の「法案」段階であることに留意が必要です。財政収支については、2027年の財政赤字はGDP比2.9%、政府債務残高はGDP比46.9%といずれもEUの財政ルール(赤字3%未満・債務60%未満)の範囲内で推移する見通しが示されています。

2
法人税(Vennootschapsbelasting)関連の改正
CORPORATE INCOME TAX

支払利子控除制限(renteaftrekbeperking)の廃止 ─ ただし要確認

2026年9月15日付のプレスリリースでは、法人税の既存の支払利子控除制限(renteaftrekbeperking)を廃止する方針が明言されました。廃止が実現すれば、グループ内資金調達構造に一定の影響を与える可能性があります。

実務上の留意点
どの支払利子控除制限規定(一般的な過大支払利子控除制限=earnings-strippingルールなのか、不動産投資会社向けの特定制限なのかなど)を指すのかは、政府プレスリリースの時点では明記されていません。法案本体(Wetsvoorstel Belastingplan 2027)の該当条文が公表され次第、対象規定と施行時期を改めて確認する必要があります。

参加免税における為替差損益の取扱い調整

海外子会社株式等を保有する持株会社が、当該株式取得に伴う為替リスクをヘッジする借入(ヘッジ手段)を用いている場合、現行制度では次の非対称な取扱いが生じていました。

  • ヘッジ手段(借入)に係る支払利息:損金算入可能
  • 対応する為替差益(子会社株式の参加免税対象部分):参加免税により非課税

Belastingplan 2027では、この非対称性を是正するため、あらかじめ織り込まれている(予想される)為替差損益は課税対象化し、織り込まれていない(予想外の)為替差損益のみを引き続き参加免税の対象とする見直しが提案されています。2027年1月1日施行が予定されており、既存案件には経過措置が設けられる見込みです。本改正は、2025年3月の最高裁判決(清算損失規定の適用範囲拡大)による税収減の財源としても位置づけられています。

日系企業への影響
オランダに地域統括会社(持株会社)を置き、海外子会社株式の取得資金を為替ヘッジ付きの借入で調達している日系企業グループは、ヘッジ会計・税務処理の見直しが必要になる可能性があります。既存の借入契約・ヘッジ契約がある場合は、経過措置の適用可否を早めに確認することをお勧めします。

イノベーションボックス制度:定額(forfait)上限の引き上げ

自社開発の無形資産(特許・ソフトウェア等)由来の利益を軽減税率で課税する「イノベーションボックス」制度には、実際の研究開発費按分計算を省略できる簡便法(定額制度)があります。2013年の導入以来据え置かれていたこの定額の上限額を、2027年1月1日から現行の€25,000から€100,000へ引き上げることが提案されています。主に中小企業による制度利用の促進が狙いです。

その他の技術的調整

このほか、相続により重要株主持分(aanmerkelijk belang)を取得した場合の「過剰借入課税(excessief lenen)」規定との重複排除、海外法人がオランダへ本店(実質管理地)を移転した際の重要株主持分の取得価格算定方法の明確化(原則として移転時点の時価を基準とする)など、個人株主・オーナー経営者に関わる技術的な是正措置も盛り込まれています。

3
不動産譲渡税(Overdrachtsbelasting)の見直し
REAL ESTATE TRANSFER TAX

非自己居住用住宅の税率を8%→7%に引き下げ

自己居住用ではない住宅(賃貸目的での取得等)の取得に適用される不動産譲渡税率が、2027年から現行の8%から7%に引き下げられる方針です。自己居住用住宅の税率(2%)や、初めて住宅を取得する若年層向けの「スタータース免税」には変更はありません。

この措置は、投資家によるオランダの賃貸住宅市場への投資を再び後押しする狙いがあります。過去の税率引き上げ(2%→8%、10.4%と段階的に引き上げられてきた経緯)が、投資家による賃貸住宅の取得減少や、既存賃貸住宅の切り売り(uitponden、賃貸住宅を空室化して個別に売却する動き)を招いたとされ、その反動としての引き下げと位置づけられています。

取得類型 現行税率 2027年提案
自己居住用住宅(本人居住) 2% 2%(変更なし)
非自己居住用住宅(投資家・賃貸目的等) 8% 7%
住宅以外の不動産(事業用不動産等) 10.4% 10.4%(変更なし)
日系企業への影響
オランダで不動産投資(レジデンシャル・賃貸住宅への投資)を検討している日系の投資家・事業会社にとっては、取得コストの低下要因となります。取得のタイミングによって適用税率が変わり得るため、決済(オランダでは通常、公証人による所有権移転登記の時点)のスケジュールに留意してください。

住宅法人(woningcorporaties)間の不動産移転に新たな免税措置

社会賃貸住宅(DAEB不動産)を保有する住宅法人どうしが不動産を相互に移転する取引について、新たな不動産譲渡税の免税措置が導入される見込みです。既存の「業務移管(taakoverdracht)」免税は要件が厳格で、住宅法人間の相互協力を目的とした移転には事実上利用しづらいという課題があったための措置です。この項目は主に非営利の住宅法人セクターに関わるものであり、一般の事業会社への直接的な影響は限定的です。

4
M&A・組織再編に関わる改正
M&A / REORGANISATION

事業譲渡・会社分割ファシリティの「非事業的動機の推定」規定を撤廃

オランダ法人税法(Wet op de vennootschapsbelasting 1969)には、事業譲渡(bedrijfsfusie)や会社分割(splitsing)を行う際に、一定の要件のもとで含み益への即時課税を繰り延べられるファシリティ(課税繰延措置)が設けられています。このファシリティは、組織再編が主として「課税の回避・繰延」を目的とする場合には適用されません。

現行法には、組織再編後3年以内に、関係会社を非関連者へ譲渡(売却)した場合、当該再編は事業目的(zakelijke overwegingen)に基づかないものと推定するという法律上の推定規定(反証可能)が置かれていました。しかし、2026年2月27日の最高裁判決により、会社分割ファシリティにおけるこの推定規定はEUの合併指令(Fusierichtlijn(合併指令))に整合しないと判断されました。

これを受け、Belastingplan 2027(正確にはOverige fiscale maatregelen 2027)では、この法律上の推定規定を会社分割・事業譲渡の両方のファシリティから撤廃することが提案されています。撤廃後は、再編後3年以内に譲渡が行われた場合であっても、課税回避目的があったことの立証責任は、納税者ではなく税務当局側が負うことになります。

日系企業への影響
オランダ子会社の事業再編(グループ内での事業譲渡・会社分割)を行った後、比較的短期間(3年以内)にその一部を第三者へ売却する可能性があるM&Aディールにおいて、これまでは納税者側が「事業目的があったこと」を立証する必要がありましたが、今後は税務当局側がまず課税回避の疑いについて立証の端緒を示す必要があります。これにより、事業再編を伴うカーブアウト型M&Aや、再編後の早期売却を伴うディールにおける税務ポジションの立証負担が軽減される可能性があります。

「Uボッホト投資家」向け配当税還付制度の新設

オランダの居住者が、外国の投資機関(buitenlandse beleggingsinstelling/bbi)を経由してオランダ株式に投資する形態は「Uボッホト投資(u-bochtbeleggen、迂回投資)」と呼ばれます。2024年9月13日の最高裁判決では、EU法上、bbiが受け取り再分配するオランダ配当について、その背後にいるオランダの投資家が、オランダの投資法人(fiscale beleggingsinstelling/fbi)経由で投資した場合と比べて経済的に不利に扱われてはならないとされました。

Belastingplan 2027では、この判決を法律上明確化するため、Uボッホト投資家向けに配当税の還付制度を新設することが提案されています。一定の要件のもとで、bbiへの配当支払時に源泉徴収された配当税を、背後のオランダ居住投資家に還付する仕組みです。財政影響は実質ゼロと見積もられており(現時点で還付請求の兆候は確認されていない)、既存の判例に基づく取扱いを制度化するものです。

5
グローバル最低課税(Pillar Two)セーフハーバー法案
GLOBAL MINIMUM TAX

4本目の法案「Wet veiligehavenregels Wet minimumbelasting 2024(最低課税法セーフハーバー規則法)」は、2026年1月5日に国際的に合意された、いわゆる「Side-by-Sideパッケージ」をオランダの国内法に取り込むものです。オランダはOECD/G20の「インクルーシブ・フレームワーク」参加国として、この合意に賛同しています。

Side-by-Sideパッケージは、一定の要件のもとで各国・地域の既存の課税制度をグローバル最低課税(Pillar Two、オランダでは2024年施行の「最低課税法(Wet minimumbelasting 2024)」で導入済み)と同等(equivalent)とみなすための枠組みであり、実質的な経済活動を伴う企業向けの税制優遇措置をより有利に扱うための調整や、実務簡素化措置も含まれています。

今回の法案では、Side-by-Sideパッケージのうち、以下の4つの新たなセーフハーバー規則が導入される予定です。

  • 簡易実効税率(ETR)セーフハーバー規則
  • 適格同等最低課税制度セーフハーバー規則
  • 最終親会社セーフハーバー規則
  • 適格税制優遇措置セーフハーバー規則

また、決算期が52週または53週の会計年度を採用する多国籍企業グループに対する「軽課税利益追加課税(UTPR)セーフハーバー」の適用に関して、2026年5月11日付のOECD運営ガイダンスに基づく技術的な調整も盛り込まれています。財政影響として、Side-by-Side対応による税収減が構造的に▲7,300万ユーロ、税制優遇措置の緩和による税収減が▲3,300万ユーロ程度、合計で年間約▲1億600万ユーロの税収減(=対象企業にとっては負担軽減)が見込まれています。

日系企業への影響
連結売上高7億5,000万ユーロ以上の日系多国籍企業グループでオランダに事業体を有する場合、Pillar Two(グローバル最低課税)対応の実務負担軽減につながる可能性があります。特に、実効税率が高い国・地域の事業体や、実質的な事業活動を伴う税制優遇措置を利用している事業体については、セーフハーバー適用によりGloBE情報申告書(GIR)作成の詳細計算を省略できるケースが増えると見込まれます。自社グループの各国子会社がどのセーフハーバー要件に該当し得るか、法案の確定後に税務顧問とともに精査することをお勧めします。

6
スタートアップ・スケールアップ向けストックオプション税制
STARTUPS & SCALE-UPS

独立した法案「Wet fiscale stimulering start-ups en scale-ups」では、スタートアップ・スケールアップ企業が従業員に付与する株式報酬(ストックオプション)について、次の2つの優遇措置が提案されています。

  • 課税ベースの圧縮:オランダ企業庁(RVO)の認定を受けている期間中の株式の値上がり益について、所得の課税対象を65%に圧縮(実質的に35%を非課税扱いとする)
  • 課税タイミングの繰延:原則として、オプション行使により取得した株式を実際に売却した時点まで、給与税・所得税の課税を繰り延べる

この優遇措置の財源として、個人事業主向けの「協力配偶者控除(meewerkaftrek)」および「廃業控除(stakingsaftrek)」をまず75%縮小し、3年後に完全廃止することが提案されています。本法案は望ましくは2027年1月1日の施行を予定していますが、他の措置とは異なり国王令(koninklijk besluit)による個別の施行が予定されています。

日系企業への影響
オランダでスタートアップを設立・出資する、またはオランダのスタートアップ企業に出資・買収を検討している日系企業にとっては、優秀な人材確保のためのストックオプション付与のハードルが下がる可能性があります。一方、個人事業主として活動する日本人駐在員やフリーランス人材がいる場合は、協力配偶者控除・廃業控除の縮小・廃止による影響も併せて確認が必要です。

7
個人所得税・購買力対策のポイント
PERSONAL INCOME TAX

日系企業の駐在員・現地採用スタッフの手取りにも関わる個人所得税分野では、以下のような変更が提案されています。

  • 労働税額控除(arbeidskorting)を3つの所得区分すべてで€173引き上げ
  • 所得税第1・第2ブラケットの税率を、従来計画よりもやや引き下げ
  • 高齢者控除(ouderenkorting)を€100引き下げ
  • 最高税率が適用される所得水準(toptarief開始点)のインデックス改定を凍結
  • 通勤費の非課税限度額を1kmあたり€0.23→€0.25に引き上げ(2026年1月に遡及適用)
  • 年金・個人年金の保険料控除に係る所得の頭打ち限度額(現行€137,800)のインデックス改定を2027〜2032年の6年間停止
  • 職場経費規則(WKR)における自社製品の割引購入(20%・上限€500/年)の非課税枠を廃止(会社全体の「自由枠」の範囲内であれば引き続き非課税)
  • 個人事業主向けの起業家控除(startersaftrek)を2027年に大幅減額し、2028年に完全廃止

全体としては、中東情勢や物価上昇の影響も踏まえると、対策を講じない場合の2027年の家計購買力は平均△0.1%ポイントとなる見通しでしたが、政府の対策により当初想定より+0.2%ポイント改善する見込みです。ガソリン・軽油の物品税減税(下記参照)も含め、総額約14億ユーロの家計負担軽減策が講じられています。

8
VAT(付加価値税)の変更
VAT

VAT分野では、既存の軽減税率(9%)の適用範囲を見直し、費用対効果の低い品目を標準税率(21%)に統合する方針が示されています。

  • 花卉園芸品(切り花・鉢植え・球根・庭木等):2028年1月1日から軽減税率9%を廃止し標準税率21%へ。過去の政策評価で「有効性・効率性が低い」とされたことが理由
  • 熱気球飛行:同じく2028年1月1日から標準税率21%へ移行

これらは日系企業の間接税実務に直接影響する範囲は限定的ですが、花卉・園芸関連の輸出入や小売事業を行う企業がある場合は、2028年に向けた価格設定・契約条件の見直しが必要になります。

9
環境・廃棄物税/CO2賦課金の調整
ENVIRONMENTAL TAX

製造業・廃棄物処理業を営む企業にとって影響が大きいのが、廃棄物税(afvalstoffenbelasting)の高税率および廃棄物焼却施設(AVI)向け産業用CO2税の引き上げペースの見直しです。従来計画(Belastingplan 2026時点)よりも引き上げペースを緩やかにする一方、現行税率対比では依然として大幅な増税である点に注意が必要です。

廃棄物税(高税率、€/トン) 2027 2028 2029 2030 恒久
従来計画(BP2026) 40.85 92.82 95.29 124.20 117.1
新提案(BP2027) 40.85 64.0 71.0 81.0 81.0

同様に、産業向けCO2税(AVI向け、2026年価格水準)についても、2027年€126、2028年€148、2029年€170、2030年€193と、従来計画(2027年€154・2028年€204・2029年€254・2030年€304)よりも緩やかな引き上げペースに修正されます。この見直しにより、国内外の焼却コスト格差の縮小(廃棄物の海外流出防止)や、AVI事業者の投資予見可能性向上が期待されています。

このほか、温室栽培(glastuinbouw)事業者向けには、グリーンガス混合義務の導入に伴うコスト増を一時的に補填するエネルギー税の軽減調整(2027年限定)、上水道税の引き上げ(€0.437→€0.537/m³)、航空税高税率の引き下げ(ドイツの水準に合わせて€59.43に)なども提案されています。

10
自動車税・物品税など、その他の措置
EXCISE & VEHICLE TAX

物流・運送業に関わる措置として、商用バン・貨物自動車の自動車税(MRB)を2026年後半に時限的に引き下げる措置(中東情勢による燃料高への対応、既に政策決定として先行実施済み)が法制化されます。また、ガソリン・軽油の物品税減税が2027年まで延長されるほか、アルコール物品税は2027年から毎年自動的に物価連動でインデックス改定される仕組みに変更されます。小規模醸造所向けの優遇税制は2028年に廃止予定です。オランダ領カリブ諸島(BES諸島)向けの車両距離手当・ガソリン物品税の調整も含まれています。

11
今後のスケジュールと成立見込み
LEGISLATIVE TIMELINE

Belastingplan 2027パッケージは、2026年9月15日に下院へ提出された後、下院・上院それぞれで審議・議決を経て法律として成立します。例年のスケジュールでは、下院での審議・可決が11月頃、上院での最終可決が12月中旬頃となり、多くの措置は12月中に成立・公布されたうえで、翌年1月1日から施行されるのが通例です。

提出
2026年9月15日
下院へ提出(プリンセスデー)
審議
2026年秋
下院・上院での審議(内容修正の可能性)
想定施行
2027年1月1日
大部分の措置(一部は2028年等)

現時点ではあくまで法案段階であり、国会審議を通じて内容が修正・削除されたり、逆に新たな修正案(nota van wijziging)が追加されたりする可能性があります。実際に、ガソリン・軽油の時限減税延長のように、提出後の修正案で内容が追加された例も過去にあります。重要な意思決定の前には、必ず可決後の最終条文を確認することをお勧めします。

一次情報リンク

本記事は上記の公式情報に基づき2026年9月時点の法案内容を解説したものであり、税務・法務上の助言を構成するものではありません。Belastingplan 2027は本記事執筆時点で国会審議前の法案段階であり、内容は今後変更される可能性があります。実際の意思決定にあたっては、必ず最新の一次情報をご確認のうえ、個別に税務専門家へご相談ください。

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