英国、事業売却時のキャピタルゲイン税優遇(BADR)税率を2026年4月から14%→18%に引き上げ

GB英国政府
確定・施行 その他
2026.04.06掲載: 2026.07.25

英国、事業売却時のキャピタルゲイン税優遇(BADR)税率を2026年4月から14%→18%に引き上げ

概要

英国では2026年4月6日から新税年度が開始し、多数の税制改正が施行された。中でもM&A実務に直結するのが、事業(株式)売却時のキャピタルゲイン税(CGT)優遇制度であるBusiness Asset Disposal Relief(BADR、旧Entrepreneurs’ Relief)およびInvestors’ Reliefの適用税率が、14%から18%に引き上げられたこと。2025年4月の10%→14%引き上げに続く、2年連続の税率引き上げとなる。

  • BADR税率引き上げ:事業主が自社事業や自社株式を売却する際、通常のCGT税率より低い優遇税率が適用されるBADR・Investors’ Reliefの税率が、2026年4月6日以降の譲渡について14%から18%に引き上げ。生涯累計上限(lifetime limit)は据え置き。
  • キャリード・インタレストの課税方式変更:プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル等のファンド運用者が受け取る成功報酬(carried interest)について、2026年4月6日以降はCGTではなく所得税・国民保険料(NIC)の課税対象に変更。最低保有期間の要件を満たす場合は実効税率約34%の優遇税率を適用。
  • 相続税(IHT):農業用資産・事業用資産への課税拡大:従来は無制限だった農業用資産軽減(APR)・事業用資産軽減(BPR)に、個人あたり250万ポンド(夫婦で500万ポンド)の上限を新設。上限超過分は50%軽減(実効税率20%)。AIM上場株式は金額にかかわらず50%軽減に制限。
  • 配当税率の引き上げ:配当所得税率が、基本税率8.75%→10.75%、上位税率33.75%→35.75%に引き上げ(追加税率39.35%は据え置き)。オランダ・英国間で親子会社を持つグループの役員報酬設計にも影響し得る。

実務メモ

背景:英国政府は近年、事業売却優遇税制の税率を段階的に引き上げる方針を明確にしており(2024年10%→2025年14%→2026年18%)、今後もさらなる引き上げの可能性がある。M&Aのタイミングを検討する際は、税率動向を踏まえた売却スケジュールの検討が重要になっている。

ポイント:英国子会社の売却(イグジット)やオーナー経営者の事業承継を検討している日系企業グループにとって、BADR税率引き上げは売却手取り額に直接影響する。相続税の事業用資産軽減縮小も、英国に家族経営会社を持つ場合の承継プランニングに影響する。

実務への一言:英国子会社の売却やオーナー変更を検討している場合は、税率引き上げ後のネット手取り試算を早めに行い、現地の税理士・M&Aアドバイザーとスケジュールを含めて相談することをおすすめします。

一次情報を見る(原文) ↗
国・地域イギリス
発信機関英国政府(Finance Act 2026)
トピックその他(キャピタルゲイン税・M&A関連税制)
公開日2026.04.06
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