欧州委員会、簡素化されたESRS改訂版と中小企業向け任意基準(VSME)を採択
EU欧州委員会
2026.07.03掲載: 2026.07.25
欧州委員会、簡素化されたESRS改訂版と中小企業向け任意基準(VSME)を採択
概要
欧州委員会は2026年7月3日、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)に基づく開示基準である欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の改訂版、および中小企業向け任意報告基準(VSME)を採択した。義務的データポイント数を60%超、総データポイント数を70%超削減し、報告コストを企業あたり30%超削減することを目指す大幅な簡素化。
- 背景:2023年7月に採択された最初のESRSは、データポイントが多すぎる、明確性に欠けるとの批判を受けていた。2025年3月のオムニバス提案を受け、欧州委員会はEFRAGに大幅な簡素化に関する技術的助言の作成を委任し、EFRAGは2025年7月に公開草案、2025年12月に最終技術的助言を提出していた。
- 主な変更点:重要性評価(マテリアリティ)はトップダウン型アプローチを重視する方式に変更。商業上著しく不利益となる情報の開示省略を認める規定、GHG報告境界の設定における財務支配基準・実質支配基準の選択制導入、想定財務影響に関する開示の段階的な経過措置(2024〜2026年度開始の対象事業年度は2028年度まで、2027年度以降開始分は最初の2事業年度まで開示省略可)などを新設。
- VSME(中小企業向け任意基準):CSRD義務対象外かつ従業員1,000人以下の企業向けに、任意でのサステナビリティ報告を可能にする簡易フレームワークを新設。サプライチェーンを通じた大企業からの情報要求に上限(バリューチェーン・キャップ)を設け、中小企業側が上限を超える情報提供を拒否できる権利を明記。
- 非EU企業向け基準は対象外:今回の改訂はEU域内企業向けESRSが対象で、非EU親会社グループ向けの基準(ESRS for Third-Country Groups、旧ESRS-40a)は含まれない。同基準案は2026年7月1日にEFRAG理事会で承認され、月内にも公開協議が開始される見込み(欧州委員会による採択は2027年予定)。
実務メモ
背景:改訂版ESRSおよびVSMEは今後、EU理事会・欧州議会による2ヶ月間(延長時最大4ヶ月)の審査期間を経て、異論がなければEU官報に公布される。改訂版ESRSの発効は採択から4ヶ月と1週間後で、2027年1月1日以後開始事業年度から適用。
ポイント:改訂版ESRSの適用は2027年度から義務化されるが、企業は任意で2026年度から前倒し適用することも可能とされている(欧州委員会公表資料より)。
実務への一言:EU域内子会社がCSRDの対象となっている、またはサプライチェーンを通じてESRS関連の情報提供を求められている日系企業グループは、今回の簡素化内容と経過措置の選択肢を踏まえ、現地の会計士・サステナビリティ担当と早めに対応方針を確認しておくとよいでしょう。
| 国・地域 | EU |
| 発信機関 | 欧州委員会 |
| トピック | サステナビリティ |
| 公開日 | 2026.07.03 |
