【2026年版:30%ルーリング完全ガイド】オランダ税務当局の公式基準に基づき解説

30%ルーリングとは、海外からオランダに招聘された高度な専門知識を持つ人材に対し、給与(課税対象額)の最大30%を「非課税手当」として支給できる制度です。
この制度の目的は、国外からの移住に伴って発生する追加費用(域外コスト)を補填することにあります。具体的には以下のような費用が対象となります。
- ▶オランダの生活費が母国より高い場合の差額(食費・光熱費など)
- ▶住宅探しや学校探しのための下見旅行費用
- ▶ビザ、滞在許可証、運転免許証の切り替え手数料
- ▶二重居住に伴う宿泊費(ホテル代など)
- ▶オランダ語の語学研修費用
制度の適用には、オランダの労働市場で確保が困難な「特定の専門性」を有していることが求められます。
非課税手当を除いた年間の課税対象給与額が、以下の基準を超えている必要があります。
| 対象区分 | 2026年度の最低給与基準 |
|---|---|
| 一般(30歳以上) | €48,013 超 |
| 30歳未満かつ修士号保持者 | €36,497 超 |
※ 修士号はオランダの修士号と同等以上の学位が必要です。科学研究者や研修医として指定施設で勤務する場合、給与額に関わらず本制度を利用可能です。
オランダでの雇用開始前24ヶ月のうち、16ヶ月以上をオランダ国境から直線距離で150km以上離れた場所に居住していたことが条件です。ベルギー、ルクセンブルク、およびドイツ・フランス・イギリスの一部地域に居住していた場合は適用対象外となります。
オランダに入国する前に、国外(アルバ、キュラソー、シント・マールテン等を含む)で採用されている必要があります。
「国外からの採用」という要件を満たすためには、単に国外に住んでいるだけでなく、雇用契約を締結した「場所」と「タイミング」が厳格に審査されます。
- •入国前の署名が必須:雇用契約書への署名は、必ずオランダへ入国する前に行われていなければなりません。
- •入国後の契約は対象外:すでにオランダ国内に入ってから雇用契約を締結した場合、他の条件を満たしていても「国外からの採用」とは見なされず、申請が却下される可能性があります。
- •証明書類:申請時には、契約締結日(署名日)・その時点の居住地を明記し、必要に応じて居住証明書や入国前に契約が成立していたことを示す書類の提出を求められることがあります。
※ 休暇や親族訪問など年間合計6週間以内(または1回のみ連続3ヶ月以内)の短期滞在は、適用期間の短縮対象になりません。
本制度は、雇用主と従業員が連名で税務署に申請する必要があります。
- ▶4ヶ月以内の申請:勤務開始日から4ヶ月以内に申請が税務署に届いた場合に限り、雇用初日に遡って適用されます。4ヶ月を過ぎると、申請を受け付けた翌月からの適用となり、遡及適用は認められません。
- ▶審査期間:申請後、通常8週間以内に結果が通知されます。
最新の法改正案により、2027年1月1日から以下の変更が予定されています。
🔻 非課税枠の縮小:現行の最大30% → 27% へ引き下げ
📈 給与基準の引き上げ(2027年予定):
・一般:€50,436 / ・30歳未満かつ修士号保持者:€38,388
✅ 経過措置:2023年12月31日以前から制度を利用している場合は、5年間の適用期間中、引き続き30%の非課税枠が維持される見込みです。
30%ルーリングは非常に強力なインセンティブですが、その適用には「入国前の契約締結」という実務上の鉄則を含む、厳格な条件があります。手続上のわずかなミスが大きな損失につながる可能性があるため、早期に専門家と連携し、適格性を確認することが重要です。
オランダ進出を検討されている日系企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
