経済産業省「海外M&A事例集 2026年版」にヨーロッパ現地M&A専門家として代表・藤後がインタビューを受けました

2026年2月、経済産業省 関東経済産業局が発行した『中堅・中小企業のための海外M&A事例集 2026年版』に、ヨーロッパにおけるM&A専門家としてTGO Partners代表の藤後がインタビュー協力・掲載されました。

本事例集は、海外M&Aを検討・実行する中堅・中小企業を対象に、検討から実行、買収後のPMIに至るまでの実務的な論点を整理した公式資料です。日本側の買い手企業だけでなく、売り手オーナー・現地経営陣・現地専門家という多面的な視点(360度視点)を取り入れているのが特徴で、アジア・北米・ヨーロッパの各地域における現地専門家の知見が収録されています。

経済産業省 関東経済産業局のウェブサイトよりご覧いただけます。

https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kaigai_tenkai/r7_kaigai_chousa_jigyo.html


目次

ヨーロッパ・ディール:成功のための鍵と特異性

TGO Partnersは「現地専門家からの視点(ヨーロッパ)」の章において、ヨーロッパでのM&A実務における固有の特徴と成功のための鍵について見解を提供しました。ヨーロッパでのM&Aを成功させるためには、アジアや国内の案件とは全く異なる「スピード感」と「交渉スタイル」への理解が不可欠です。強調したポイントは以下の4点です。

① 最大のギャップは「初動のスピード」

ヨーロッパの売り手は、関心表明からわずか2〜3週間程度でEOI(初期的な関心表明)の提出を求めるなど、初期局面から非常に高いスピード感を要求します。日本企業によく見られる「社内承認に1〜2か月かける」というペースでは、本格的な検討(LOI段階)に進む前に候補から外されてしまうのが現実です。NDA(秘密保持契約)の締結一つをとっても、慎重になりすぎて時間を浪費することは、ヨーロッパでは致命的な機会損失につながります。ヨーロッパでは初動での遅れは挽回しにくいことを前提に、どこまで権限委譲や稟議短縮が可能かを事前に整理しておくことが重要です。

② 交渉は「ハイボール」前提

ヨーロッパの交渉では、売り手が当初から非常に高い条件を提示し、複数の候補者を競わせるスタイルが一般的です。日本企業は提示された条件を真面目に受け止めすぎる傾向がありますが、重要なのは自社が譲れない条件を早期に明確にし、価格以外の条件(リテンション、エスクロー、表明保証など)を組み合わせた手札で主導権を握ることです。段階的な譲歩設計を持って臨むことで、合意点を見出しやすくなります。

③ DDは「税務」や「労務」が揉めどころ

ヨーロッパはEU単一市場と言いつつ、各国で税制や労務実務が大きく異なります。DDでは複雑な税務リスクの精査が重要な項目の1つであり、それがSPA(株式譲渡契約)における補償設計に直結します。1つのディールで複数の国に子会社があるグループを買収する場合、それぞれの国を検討する必要があります。また、対象会社の決算体制が外注か内製か、担当人員が十分かといった「実務の粒度」を確認しておくことが、買収後のPMI負荷を予測する上で欠かせません。二重帳簿のような不正は欧州では比較的少ない一方、複数国にまたがる税務・労務・制度差の複雑さには注意が必要です。

④ PMIは「方針提示とフィードバック」が命

買収後の統合プロセスにおいて、日本側が詳細なデータ収集ばかりを求め、判断やフィードバックを返さないでいると、現地側は「何のためにやっているのか」と不信感を抱き、プロジェクトは停滞します。トップが自ら現地入りし、ビジョンと報告ラインを明示するとともに、収集したデータに基づいた明確なフィードバックを行う双方向のコミュニケーションが成功の鍵です。成功事例では、買収直後にトップが現地に入り、方針・目的・会議体や報告ラインを明示しています。


ヨーロッパにおけるM&Aは、アジアや国内案件とは異なる論理とスピード感で動いています。

TGO Partnersは、オランダ・アムステルフェーンを拠点に、日本企業のヨーロッパでのM&A・事業展開を現地の実務に根ざした視点でサポートしています。ヨーロッパへの進出・買収をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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